*競技かるた* 

 
 競技かるたの公式大会では、大石天狗堂製のかるた札が用いられ、百人一首の100枚の字札のうち50枚を使用します。

その50枚を裏返した状態でよく混ぜ、25枚ずつ取り、
それを自分の陣地(自陣)の畳に、上段、中段、下段の3段に分けて並べます。
このとき札を並べる範囲は横87cmまでとなっており、
そのとき相手の陣地(敵陣)にも同様に25枚が並べられた状態となります。
その後15分間の暗記時間が設けられ、その間に自陣・敵陣の50枚の位置を暗記した後、競技が開始されます。
15分の暗記時間中の最後の2分間は素振りが認められます。



   






 暗記後は対戦相手、読手の順に礼をしてから競技が始められます。これはかるたは礼に始まって礼に終わるというか るた道の精神によって、定式化されているからです。競技開始時にはまず百人一首に選定されていない序歌(一般的 には応仁の「なにはづの唄」)が詠まれます。これは一旦上の句・下の句が通しで詠まれた後に下の句だけがもう一 度 繰り返され、そこから百首の札がランダムに詠まれます(場にある字札が下の句であるのに対して、詠まれるの は上の句からである)。

 自陣にある札をとった場合、その札が1枚減り、敵陣にある札をとった場合、自陣の札の好きな札を敵陣に送ることで 自陣の札が1枚減ります(これを「送り札」という)。

 詠み札は百首全てが用意されるのに対して、場にある札は半分の50枚のため、詠まれた歌の札が自陣・敵陣どちらに も存在しない場合もあり、これを「空札(からふだ)」といいます。空札が詠まれているのにも関わらず、自陣また は敵陣のいずれかの札に触った場合や、詠み札が自陣にあるのにも関わらず、敵陣の札を触ってしまった場合は「お 手つき」となります(逆もまた同じ)。一方で自陣(敵陣)にある札が詠まれた場合、その陣の中にある別の札を触っ たとしてもお手つきにはならず、また自陣(敵陣)の札に触れた際勢いがついて札が敵陣(自陣)の札を動かした場合も 、同様にお手つきにはなりません。相手がお手つきをした場合は、自陣の札から1枚、札を相手に送ることができます 。

 また、お手つきには、『ダブル』や『空ダブ』と言われるものもあります。『ダブル』は、敵陣の札が詠まれて、自 分がその札を取り、対戦相手がこちらの陣の札を触ったときに成立します。この場合は札を2枚(敵陣取りと相手のお 手つきでそれぞれ1枚ずつ)送ることができ、相手と自分で3枚差がつくことになります。 『空ダブ』は、空札のとき に、敵陣、自陣をともに触ってしまったときに成立します。この場合、相手から2枚札が自分に送られ、相手と自分で 4枚差がつくことになります。

 札を取る手は、1試合を通してどちらか片方の手のみが認められる。試合開始後最初に札を取りに行ったほうの手で最 後まで取り続けなくてはなりません。

 札の配置は競技中に、相手に宣言することで自由に動かすことができる。ただし、頻繁な移動や、一度に大量の札を 移動させることは、マナー上好ましくないこととされています。

 これらを繰り返し、自陣の25枚の札を先に絶無とした方を勝者とし、競技は終了します。

*散らし取り(お散らし)*





古くから行われた遊びかたのひとつで、あまり競争意識ははたらきません。以下のようなルールに従う。

  • 読み手を選ぶ(ふつうは一人)。
  • 読み札をまとめて読み手に渡し、取り札は百枚すべてを畳の上などに散らして並べる。
  • 取り手は何人でもOK。みなで取り札のまわりを囲む。このとき不平等にならないように、取り札の頭はそれぞればらばらな方を向いているようにならなければならない。
  • 読み手が読み札を適当に混ぜてから、札の順に歌を読み上げる。
  • 歌が読み始められたら、取り手は取り札を探して取ってかまわない。
  • 同時に何人もが同じ札をおさえた場合には、手がいちばん下にある人がこれを取る権利を持つ。
  • 間違った札を取った場合(お手つき)には何らかの罰則が行われるが、源平のようにしっかりとした決まりごとはない。
  • 百枚目を取ったところで終了。最も多くの札を取った人が勝ちである。
  • 本来は読み札には上の句しか書いてなかったために、この遊びかたは百人一首を覚えるうえでも、札の取り合いとしても、それなりの意味があったのだが、現在では読み札に一首すべて書いてあるために、本来の意図は見失われている。ただし大人数で同時に遊ぶためには都合のいい遊びかたで、かつてのかるた会などではたいていこの方法に片寄っていた。
  • お散らしに限らず、江戸時代までは読み手は作者の名前から順に読み上げ、上の句が終わったところで読むことをやめるのが常であったようだ。現在では作者名をはぶき、最後まで読んでしまう(なかなか取り手が取れない場合には下の句を繰りかえす)。読みかたに関しては上の句と下の句のあいだで間をもたせすぎるのはよくないとされるが、本来の遊び方からすればナンセンスな問題ともいえる。





*逆さまかるた*





 本来の百人一首は上記である散らし取りが一般的であるが、この逆さまかるたは読み札(絵札)が取り札になり、下の 句札(取り札)が読み札となるものです。
 このゲームの目的は「下の句を聞いて上の句を知る」ための訓練ゲームでもあります。もちろん、多くの札を取った 人が勝ちとなるが、取り札である読み札には漢字が混じるため視覚からくる思わぬ錯覚なども加わって、思わぬとこ ろで「お手付き」があるのもこのゲームの特徴です。




*リレーかるた*

    

 源平とは源氏と平氏のこと。二チームに分かれて団体戦を行うのが源平合戦の遊び方です。

  1. 散らし取り同様に絵札と字札を分け、読み手を一人選ぶ。
  2. 百枚の字札を五十枚ずつに分け、それぞれのチームに渡す。両チームはそれを3段に整列して並べる。
  3. 散らし取り同様に読まれた首の字札を取る。このとき相手のチームの札を取ったときは、自分のチームの札を一枚相手チームに渡す。これを「送り札」という。
  4. 先に札のなくなったチームの勝ちとなる。
  • 北海道地方で行われる下の句かるた大会はほとんどがこのルールであり、民間でも一般的であります。


 源平合戦と同じルールですが、取る人が順次交代する点で異なります。
 交代のタイミングは、自分のチームの札を相手に取られたとき、10枚読まれたときなど。



*坊主めくり*






 競技かるたとは異なり、坊主めくりをする際には首は読みません。使用する札は読み札のみで、取り札は使用しません。
 百枚の絵札を裏返して場におき、各参加者がそれを一枚ずつ取って表に向けていくことでゲームが進むます。
 多くのローカルルールが存在しますが、多くで共通しているルールは以下のようなものです。

  • 男性が描かれた札を引いた場合は、そのまま自分の手札とする。
  • 坊主(ハゲと呼ぶこともまれにある)の描かれた札を引いた場合には、引いた人の手元の札を全て山札の横に置く
  • 女性の札(姫)を引いた場合には、引いた人がそれまでに山札の横に置かれていた札を全てもらう。
  • 蝉丸の札を引いた場合、引いた人は一回休み。

 裏向きに積まれた札の山がなくなるとゲーム終了。このとき最も多くの札を手元に持っていた参加者が勝者となりま す。

 さまざまな地方ルール(ローカルルール)があり、例えば次のようなものが知られています。

  • 山札の横に札が無い場合に、姫を引いた場合はもう1枚札をめくることができる。
  • 天皇札(台座に縞模様がある札)を引いた際には、数枚引ける。
  • 天皇を引いた際には、山札とその横の札を除き、すべての札が引いた人の手札となる。
  • 段に人が乗っている札を引いた際、もう一枚めくることができる。
  • 蝉丸が出た場合、全員の札を供託に置く。





*青冠*

  


 坊主めくりと同様、首は読まず、読み札のみを使用し取り札は使用しません。
 4人で行い、全員に配られた札を向かい合った二人が協力して札をなくしていきます。書かれた絵柄で、青冠、縦烏帽 子、横烏帽子、矢五郎、坊主、姫となります。ただし、天智天皇と持統天皇は特殊で、天智天皇は全ての札に勝ち、 また持統天皇は天智天皇以外に勝つ。絵の書いた人、時期によって、100枚のうちの絵柄の構成が変わるゲームです。

  1. 100枚の札を4人に全て配る
  2. 最初の人を決めそのひとが右隣の人に対して1枚手札から出す。
  3. 出された人は、同じ絵柄の札か、持統天皇、天智天皇の札を出して受ける(天智天皇はどの札も受けられないし、持統天皇は天智天皇のみで受けられる)。
  4. 受けることが出来た場合、受けた人が、右隣に1枚手札から出す。以下同様に続けていく。
  5. 受けることが出来なかった場合、何も出せずに右隣の人に順番が移る(最初に出した人の向かい側の人が出す)。

 この手順を続け、最初に手札を無くした人のいるペアの勝ち。これを何回か行い勝敗を決めます。