嚴島神社は瀬戸内海の島を背後にして、その入江の海のなかに木造建物が建ち並ぶ日本でも珍しい神社です。社殿構成は12世紀にはじまりましたが、その後焼失し、1241年に再建されました。海に建つ木造建物として過酷な環境下にありながら、歴代政権の厚い庇護(ひご)に支えられて、古い様式を今日に伝えています。 社殿背後の嚴島は約30平方キロメートルの島で、特別史跡及び特別名勝に指定されています。古くから主峰(しゅほう)である弥山(みせん)(海抜530m)が崇敬(すうけい)の対象となり、島全体が神聖視されていました。ここに神社が造営されたのもその故であると考えられます。また、厳島の緑濃い森林が海岸線に迫る美しい自然景観は、17世紀頃から「日本三景」の一つとして称えられてきました。特異な構造をもつ厳島神社はこのような自然景観の中、海に向かって建ち並んでいます。
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